魔法の杖は諸刃の剣

東日本大震災の発生から1ヶ月がすでに過ぎました。
ニュースを見ておりますと、仮設住宅の建設が進んでいたり、物資がたくさん届けられた様子が映し出され、復興の兆しが、画面越しに伝わってきます。
けれど、現地でボランティア活動された方々からは、復興などとはまだ言える段階などではない状況だということを聞きます。
被災の範囲が広かったこと、頻発する大きな余震や、福島第一原発の問題などもあり、まだまだ被災地の方々は、不自由で不安な生活を余儀なくされていることと思います。
私も少しでも、できることを努めていきたいなと感じる日々です。
そんな中、ツイッターを見ておりますと、TL上では毎日のように、原発に関するつぶやきがされております。福島第一原発の事故を受けて、それだけ多くの人が、原子力発電ということについて、これまで以上に危機感を持つようになったのでしょう。
私は石川県在住で、県内に志賀原発という原子力発電所があります。またとなりの福井県には敦賀や若狭に、多くの原子力発電所が集まっています。けれど近くに原子力発電所があるにもかかわらず、これまでほとんど、危機感を感じたこともなく、むしろ原子力発電というものが資源の乏しい島国の日本では欠かせないものであるとさえ、思っていました。

けれど、今回の事故を受けて、その想いが誤りであったことを痛感させられました。原子力は確かに効率が良く、莫大な電気エネルギーを生み出せる夢のような発電方法なのかもしれません。けれど、クリーンで安全安心、リスクもコストも低いというものではないのです。
万が一のことがあれば、放射能によって土壌も海も、空気でさえ汚染され、人体にも悪影響を及ぼします。しかも目には見えませんから、人々は常に被曝という恐怖に怯えなければなりません。多くの人が被曝の危険にさらされているという状況は、あってはならないことのはずです。

コスト面に関しても、原子力はコストが安い発電方法とされますが、核廃棄物処理や、今回のような事故があったことのことを思えば、決して安いものではないでしょう。原子力は魅力的な一面があります。けれどそれは、決して魔法の杖なのではありません。むしろ麻薬やドーピング剤のように、一時の快楽やパワーを与え、そこから抜け出せなくなる状況を作り出してゆき、破綻を招いてゆく諸刃の剣なんです。電力供給の必要性に関してもそうですが、燃料は一定期間冷却し続けなければならないということもあり、一度手を出すと、なかなか辞められないんです、原子力は。
そのことが今回明らかになり、多くの人が原子力の恐ろしさに目覚め、4月10日には高円寺で1万5000人もの人が反原発のデモに参加したそうです。私自身も今回のことで、原子力発電には懐疑的な意見をもつようになりました。これまで日本に原子力は必要だとされてきましたが、果たしてそれは本当だろうか?と。
最近「オール電化」ということをよく聞きます。エコで低コストで、火を使わないから安全ということで、広く普及しています。けれどもこの「オール電化」で、原発2基分の電力を消費するそうです。このことを知ったとき、ハッとしました。「オール電化」を勧めるのは、電力会社です。なぜならば、電力をたくさん消費するほうが儲かるからです。つまり電気をもっと使って欲しいから「オール電化」を勧める。で、電気が足りないという大義ができ、原発を作ることもできる。まさに電力会社にすれば、一石二鳥なんです。
そんな電力会社が謳う「原発必要論」ですから、到底信じられません。他のエネルギーを上手に組み合わせ、自然力発電を使い、そして今の贅沢な暮らしを少し我慢すれば、原子力なしでも、電力は賄えるのではないでしょうか。

けれど、今すぐにというわけにはいかないでしょう。「今すぐ原発を止めろ」という意見が多く見られますが、私はそれはできないと思います。
こういう非常時には、必ず極端な論調に偏りがちになります。「原発は今すぐ止めろ」という人がいるかと思えば、「原発止めろというなら電気使うな」という意見が出てきますこれでは埓があきません。そしてこのような意見は、逆のことを言っているように見えますが、根っこは一緒のように私は思います。重視するところが違うだけで、どちらの人も自分の都合に合わせずにはおれないという想いが根本にあります。けれど、それではただただ対立を生むだけで、物事は先に進みません。

先程も書きましたが、原子力に一度手を出した以上、原発を止めることはできても、今すぐに全く原子力発電所を無くすことはできません。クールダウンさせ、発電所を無くしていくためにも、莫大なお金がかかります。今すぐなかったことには決してできません。
また原子力発電所を無くしていくために、新たなエネルギー政策を打ち出す必要もあります。原子力は日本に必要だという意見をもつ人を納得させるだけのデータが必要になるでしょう。
とにかく、脱原発を進めるためには、時間もお金もかかります。もちろん、日本は地震大国で、いつまた原発近くで地震が起こるとも限りません。一刻も早くシフトチェンジしていかなければいけないこともまた事実です。
そのためには、自分にとって良い在り方を人にも押し付けようとするのではなく、今の日本のために、そして次の世代が不安なく安心して生活を送れるようにするために、これからどうすることが一番良いのかということを、お互いに冷静に考えなければいけないのだと思います。そのためには、自分の主張ばかりではなく、他の意見を頭ごなしに否定せずに聞くということも、大切であるはずです。自分の想いなどというのは、常に正しいものなどではないのですから。

大変なときだからこそ、これからの日本のために、イデオロギーの争いに終始してしまうのではなく、己の立場や利害を超えて考えるということが、必要なのかもしれませんね。
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